2018年7月4日~7月7日
  視察先

香港、中国(深圳)

ペニンシュラホテル、UBS銀行、HUAWEI、BYD、MUJIホテル、アリババ、DJI、テンセント、盒馬(フーマー)鮮生

随行コンサルタント:真貝大介、三浦康志、斉藤芳宜、松尾愛子、星野佑介

香港、中国(深圳)の視察ポイント

日本人がまだ知らない「世界を舞台」に進化し続ける‟最先端企業“を視察する4日間!
深圳はいま「人類史上最速で進化する街」として注目を集めています。
中国は長らく世界の「下請け工場」の役割を担ってきましたが、いま単なる下請けという構図から脱却し、独自のエコシステムから新産業において世界をリードする企業の発信基地に変貌を遂げています。
いま中国は徹底的な模倣から脱却し、「新しい価値の創造」に国を挙げて取り組んでいます。すでに中国発の世界一企業も登場し、今後ますます最先端ビジネスを牽引する企業の出現が予想される。そんな中国発のイノベーションの発信基地が、ここ深圳なのです。

ツアーレポート

【DAY3】

2018年7月6日(金)

視察企業1社目:アリババ(講演)

1)ミッション・ビジョン講演風景

・「難しいビジネスを簡単にできるようにする」(できない商売を無くす)がグループミッション。
・「102年生きる企業」を目指している。1999年創業なので102年経つと三世紀に渡る企業になる。
・大量の市場データをもっている。すべてのユーザーに無料で市場データを提供し、彼らのビジネスの拡大をサポートする。
・「開けゴマ」と叫べば富がどんどん広がる、それが社名の由来。

 

2)困難の時期

・起業直後に中国国内のネットバブルで倒産危機。ソフトバンクの孫正義を始めとして、色々なパートナーからサポートを受けて危機を乗り越え、黒字化した。
・しかしその後、中国国内でSARSが大流行した。広州で2名だけSARS患者が発生したが、そのうち1名がAlibaba社員。政府より全社員の隔離&1週間の外出禁止措置。
・社員皆が不安になったが、ジャック・マーだけはしっかりと未来を見据えていた。

 

3)パートナーシステム

・Alibabaは1つの会社ではない。Alibabaはエコシステムになっている。
・今やAlibabaは中国の公共インフラシステムの一部。公共料金の支払もAlipayで出来る。

 

4)給料について

・給料は4つのパーツからなっている→①ボーナス、②昇進、③昇給、④ストックオプション
・従業員は13カ月分の給料をもらい、年末にボーナスあり。「Alibaba特別お年玉」もある。

 

5)Alibabaの価値観=「六脈の神剣」

①お客様第一主義(お客様は神様で衣食をいただく親のような存在)
②チームワーク(普通の人に普通の仕事を
③変化に応じる(イノベーションを歓迎)
④誠実(正直であれ)
⑤パッション(情熱的に楽観的に取り組め)
⑥仕事熱心(専門性、執着、向上心)

 

6)評価制度

・単なる業績への寄与だけでなく、六脈の神剣をいかに体現したかが、人事評価の制度に組み込まれている。
・価値観は良いが業績が悪い=「小白兎」(このタイプはチャンスを与える)
・業績は良いが価値観が合わない=「野良犬」(このタイプはご退場願う)
・業績も良く価値観も合う=「明星」(スター)・全般的に普通=「牛」
・2割が明星、7割が牛、1割が小白兎か野良犬

 

7)事業展開

・Alibabaの6つのセグメント→①電子商取引/②金融/③物流/④クラウド/⑤広告/⑥国際貿易
・Alipayは海外展開している。色々な海外業者と提携しているので、海外でも様々なシチュエーションで決済可能(留学費の支払いとかも)。国際送金可能。海外で交通系決済にも使える。
・北米での展開は大変。米中の貿易摩擦が起きているから。昨年も、アメリカの送金会社を買収しようとしていて、手付金も支払っていたが、アメリカ政府からストップがかけられた。

 

8)インターネット+金融の形態

・例えば小銭をAlibabaに預けてそこに利息がつくサービス「余額宝」。現在はユーザー、預け金額が大きいサービスになっている。当初はここまで成長するとは思わず。
・伝統的な金融機関からは反発。「違法だ」と指摘された。社内で「危ないから止めませんか?」と声が上がった。ジャック・マーは言った。「責任は自分が負う。牢獄は自分が入る。君たちは自分の仕事をするのだ」。最終的に政府と交渉して、政府が直々に合法だと許可してくれた
・自分たちだけで(法的に)できないビジネスは、合法だけど業績が悪い会社を探して買収し、その会社を通じてビジネスを実現する。
・Alibabaにデポジットされた莫大な金を何に使っているか?→融資している。「Alibabaローン」。累計の融資額は2000億元。
・一般的な金融機関とAlibabaローンの融資の違い-利益率:15%以上/6.7%(利益率は高くない=その分ユーザーに還元)-融資額:平均150万元/平均6〜7万元(小口の貸付)-コスト:2000元/2.3元(圧倒的低コスト)-承認までの時間:早くて3日/数分(圧倒的スピード)-不良債権率:2〜3%/1%(不良債権率が低い)
・中国の金融機関は市場化されていない。最高と最低の利率を政府が決めている。起業への融資の場合はいくらみたいに。そのため、余額宝の利率と「差額」が生まれて、ユーザーが利用するメリットが生じる。
・アメリカの金融機関は自由市場。利息も自由設定。差額が生まれないから、こういうサービスは流行らない。
・銀行と組んでローンのサービスをやろうとしたが、銀行の融資審査が厳しくて、申し込みがあってもなかなか融資が下りない。使い勝手が悪い。であれば、自社で小額融資会社を作ろうと思い、2010年に会社を設立し、自社でサービスを提供。

 

9)P2Pの状況

・P2Pプラットフォーム。アメリカは2大サービスがあるが(LendingとProsper)、中国では乱立な成長期。参入ハードルがなくて、業界基準がなくて、監督もされていない(近々管理制作が出るが)
・ブロックチェーンテクノロジー。分散型台帳技術。中国ではビットコインが禁止になった。しかし、中国政府がブロックチェーン技術そのものを推奨することを、関係者は期待している。様々なサービスに技術を応用できる。

 

10)Alibabaの金融サービスの歴史

※とにかくスピードが速い。すぐに実行する。
2003年10月18日:初の担保取引が開始
2004年12月8日:Alipay社が設立し、同月29日にAlipayアカウント体制が登場
2005年5月5日:Alibaba以外の会社が決済に使用可能
2008年10月25日:公共事業の支払機能を提供
2009年5月:モバイルアプリが誕生
2010年6月8日:融資会社を設立
2011年7月:QRコードでの支払い機能実装
2013年6月13日:利息サービスをスタート
2015年1月8日:ゴマ信用の会社が設立
2015年4月:お金を貸すサービスをスタート
2015年6月25日:銀行業をスタート
2015年9月:保険事業部が設立

 

11)中国のネット保険

・中国のネット保険は4種類ある。
①保険会社が自ら作ったオンラインプラットフォーム
②ECプラットフォーム
③プロフェッショナルの第三者保険仲介プラットフォーム
④専門のインターネット保険会社
・中国国内初のインターネット保険会社。Alibabaやテンセントなど、中国の大手IT企業が手を組んで設立した。

 

12)ゴマ信用

・ゴマ信用の得点システムは以下の5つの角度から分析。
①身分特質(社会的ステータスや高級品の消費など)
②履約能力(支払い履行能力)
③信用歴史(クレジット履歴)
④人脈関係(交友関係の社会信用スコア)
⑤行為偏好(消費行動の偏り)
・ポイントが高いと無担保で借り入れができる。キャッシュをおろせる。保証金が免除。
・ゴマ信用を活用した事例:自動車販売店。マネージャーとスタッフの2名だけいればいい。ユーザーはスキャンで入店(スコアが高ければ入れる)。車を選ぶ。融資サービスを利用する(スコアが高ければ利用できる)。その場で乗車して帰宅。
・これらのデータはネットでアプリを使ったり位置情報を使って、行動を画像化して分析し、ポイント化する。予測もする。
・中国政府のルールとして、Alipayを利用するためには個人認証が必要とされている。中国人ならIDで個人認証が可能。しかし外国人(中国に銀行口座を持っていない人)は個人認証ができない。
・だから現状は外国人(中国に銀行口座を持っていない人)は残念ながらAlipayを利用させられない。ただ、外国の政府が自国のIDのデータベースなどを連携してくれれば個人認証が可能になるので、Alipayを利用させることができる。
・シンガポール政府はこれを許可している。他には、その国の支払決済会社を買収して、そのデータベースと連携する方法もある。インドの支払決済会社は買収して、インドでは使えるようになっている。

【DAY4】

視察3日目以外のレポートは本視察参加者のみへの公開とさせていただいております。

 総括

【深圳・香港視察の10のキーワード】

①唯一のものは誇りにつながる
 1都市に1つの宝石/シェフズテーブル(ペニンシュラ)

②家族満足度の向上
 社員の家族写真プレゼント/ファミリーパーティ(ペニンシュラ)

③信用の時代
 BCなどでも変わらない本質(UBS銀行)/ゴマ信用(アリババ)

④研究開発への投資
 売上の10%(ファーウェイ)/中小企業の研究開発は時間の投資

⑤従業員の利益と会社の利益を一致させる仕組み
 従業員持株制度(ファーウェイ)/純利益20~30%が賞与(テンセント)

⑥自社商品の良さをじっくり体験できるショールーム
 (MUJI HOTEL)

⑦価値観の浸透
 社長の側近がチェック(アリババ)/社員の家族写真(ペニンシュラ)

⑧すべての手続きがスマホで完結
 中国のスマホライフ(于の講演)/スマホ前提のサービス提供

⑨セルフサービス&自動化
 人がやらなくてよい業務(自動ロボットコンビニ)

⑩社内で競わせる仕組み
 テンセントの内部競争(テンセント)


【自社に落とし込む10の問い(自問自答用)】

①どうすれば、唯一無二のものを作ることができるか?
②どうすれば、家族満足度を高めることができるか?
③どうすれば、もっと信用を高めることができるか?
④どうすれば、研究開発に時間(とお金)を割くことができるか?
⑤どうすれば、従業員の利益と会社の利益を一致させることができるか?
⑥どうすれば、自社商品の良さを体験できる機会を作ることができるか?
⑦どうすれは、もっと価値観を浸透できるか?
⑧どうすれば、すべての手続きがスマホで完結できるか?
⑨どうすれば、セルフサービスを取り入れ、業務を自動化できるか?
⑩どうすれば、社内で競わせる仕組みを作ることができるか?

この記事を書いたコンサルタント

斉藤芳宜
斉藤芳宜

大手通信会社において IT 関連の新規事業立上げのチームリーダーを経て、船井総研に入社。現在、IT企業コンサルティングチームにおいて、即時業績アップにつながるコンサルティングを得意とする、IT ・ソフト開発会社専門コンサルタントである。「答えは現場にしかない」という信念のもと、年間250日以上を現場での調査と業績アップ支援に充てている。
IT企業経営者向け総合情報サイト「ITベンダー経営.com」の運営統括責任者であり、全国のIT企業経営者を組織化し、オンリーワン高収益企業の輩出を目指す勉強会「ITベンダー経営研究会」を主宰している。

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