視察先ドイツ(フランクフルト、ドルトムント、ケルン、シュツットガルト、ハノーバー、ベルリン)SAP、ボルシアドルトムント、SIEMENS、juwi holding、RIMOWA、TRUMP、ハノーバーメッセ、Metro、DHL、Deloitte、Berlin Partner、Brickblock他 随行コンサルタント:小平勝也、三浦康志、橋本直行、村上勝彦、斉藤芳宜、片山和也 |
ドイツ(フランクフルト、ドルトムント、ケルン、シュツットガルト、ハノーバー、ベルリン)の視察ポイント
次世代産業革命 「インダストリー4.0 」牽引するドイツに"未来"と"永続"の秘訣を学ぶ1週間
世界の産業をリードしてきたドイツが掲げた「インダストリー4.0」構想から6年。
構想の波は「生産性の向上」から「産業構造そのものの改革」へ向かっています。
世界中が安価な労働力によるグローバル化と競争力維持で息詰まる中、
ドイツは戦いの舞台を「次世代産業の創造」に移しているのです。
ツアーレポート
【DAY1】 |
2018年4月23日 (月) 視察1社目:SAP(エスエイピー)
(1)SAPの概要
(2)ここ5年間で新規事業が急成長:「産業まるごとデジタル化」
(3)中小企業(SME)へのサービス展開について
(4)中小企業(SME)向け、バリュープロトタイプチームについて
(5)SAP社キャンパスツアー |
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【DAY2】 |
2018年4月24日(火) 視察2社目:ボルシア・ドルトムント
(1)ボルシア・ドルトムントの概要
(2)ボルシア・ドルトムントのポリシー
(3)クラブの哲学と国際化について ドイツ内だけでの展開では限界がある。日本も含めた海外への展開が非常に重要と位置付けている。そのために自クラブの哲学を重要視している。
(4)同クラブのマーケティング戦略について 同クラブのマーケティング責任者、デニス氏より講演。
(5)スタジアムツアー
視察3社目:シーメンス
(1)シーメンスの概要 (2)生産性を飛躍的に高めるために大切なこと (3)インダストリー4.0を推進するマインド・ソフィアについて (4)組織マネジメントについて |
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【DAY3】 |
視察3日目以降のレポートは本視察参加者のみへの公開とさせていただいております。 |
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船井総研まとめセミナー |
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総括
この4月22日から28日までの1週間、ドイツを訪問してきました。ここでは特にドイツ製造業の生産性の高さの理由について、筆者が感じたところをお伝えしたいと思います。
ドイツ製造業の生産性の高さの理由(1)周辺国との分業
ドイツはポーランドやトルコなど、周辺国との分業により生産性を高めています。例えばポーランドの人件費はドイツの1/4といわれます。今回視察したroger社(グループ従業員400名)の場合も、本社機能とオーダー性の高い製品はドイツ国内で生産していますが、汎用品はポーランドで生産するなど、中小企業であっても周辺国との分業を行うことにより自国の生産性を高めていることがわかります。
ドイツ製造業の生産性の高さの理由(2)デジタル化
アメリカではBtoC企業のデジタル化の事例を目の当たりにしましたが、ドイツではBtoB企業のデジタル化の事例を見ることができました。例えば今回視察したSAP社は、「産業のまるごとデジタル化」事業によって、売上高を倍近くに伸ばしています。また今回視察したArend社は従業員35人という規模ながら、経営陣は博士号を持つエンジニア集団であり、毎年2割の成長を遂げています。ここ数年のグレートカンパニー視察セミナーを通して感じることは、経営にいかに「デジタル」を取り入れるか、といったことが必須テーマである、ということです。
ドイツ製造業の生産性の高さの理由(3)ロボット化
今回の視察セミナーの中では、ハノーバーメッセへの視察も行いました。ハノーバーメッセで特に目立ったのは「協働ロボット」のブースです。KUKAやABBといったメジャーなロボットメーカーだけでなく、ユニバーサルロボット社といった協働ロボット専業のメーカーはもちろん、中小新興の協働ロボットメーカーが数多く出展されていました。従来の産業用ロボットが主に「人のできない仕事」を行うのに対し、協働ロボットは「人が行っている仕事」を置き換えることが主な目的です。従って人とともに働ける安全性に加え、コストが安く投資回収期間が短いといった特徴が協働ロボットにはあります。欧州では協働ロボットの開発が盛んであることからわかる通り、中小企業でもロボット化が進んでいます。
ドイツ製造業の生産性の高さの理由(4)地域に根ざしたビジネス
日本の場合は東京一極集中です。しかしドイツの場合はベルリンに企業が一極集中することはあり得ず、前述のSAP社の場合はヴァルドルフに本社があり、Arend社はモーゼル川近辺の人口数万人の地方都市に本社を置くなど、地元に根ざした経営を行っています。Arend社にはワイン醸造を趣味で行っている社員がいるなど、仕事とプライベートの両立が図られていました。
日本では東京などの大都市で働くことがステイタスですが、ドイツでは自らが生まれ育った地元を大切にして地元で働き続けることがステイタスになっています。
ドイツ製造業の生産性の高さの理由(5)残業無し
例えば4月27日の金曜日に訪れたroger社では、訪問したのはお昼すぎだったにも関わらず、大半の社員は帰社していませんでした。ドイツでは週38時間労働が根づいており、中小企業であっても午後からは休みになる会社が大半です。ドイツでは春・秋ごとに数週間にも及ぶ長いバカンス期間があり、こうした休みを楽しく過ごすためにお金を稼ぐために働く、といった価値観の労働者も多いといいます。ドイツの会社では基本的に残業はなく、限られた時間の中で成果を出さなければならない、といったメリハリが生産性の高さにつながっていると感じました。
今回の視察セミナーでも感じたことは、「デジタルシフト」の必要性です。例えば成熟業界の旧来ビジネスであっても、デジタル化を行うことで成長業態に転換できることを、今回の視察でも目の当たりにしました。それを強力に推進しようとしているのが創業170年のシーメンスであり、またサッカーチームのドルトムントは、従来広告からSNS広告にシフトすることで、極めて安いコストで2億8000万人もの人にリーチできているといいます。米国でもドイツでも、現在におけるグレートカンパニー化のキーワードの1つは、デジタル化であるといえます。
自己変革を起こすほどの驚き・刺激を得よう!