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  • 驚きのグレートカンパニー視察セミナー2017年秋米国東海岸
2017年10月8日~15日
  視察先

米国東海岸(ニューヨーク、コネチカット、ボストン)

Bloomberg、Brookryn Brewery、Google、Warby Parker、Marriot hotel、Indeed、MIT、Boston Red Sox、Harvard university、Legal Seafood

随行コンサルタント:住友勝、三浦康志、小平 勝也、岩崎剛幸、小池彰誉、宮内和也

米国東海岸(ニューヨーク、コネチカット、ボストン)の視察ポイント

<ニューヨーク>
世界トップレベルの金融、マスコミ、ブランドビジネスの中心であるニューヨーク。古きを大切にすると共に、同時多発テロによりゼロからの再開発となったエリアが復活を遂げ、新たな中心となっている。
全米一、世界一の生産性を実現する街に発見した、働きがいのある会社、イノベーティブな会社を視察。
<ボストン>
世界トップレベルの産学官が融合した都市。世界大学ランキングトップのマサチューセッツ工科大学とハーバード大学を擁する都市であり、IT、バイオ、医療等の領域で新たな試みに町ぐるみで取り掛かるパイロットタウン。
持続的成長を加速させる頭脳・金・人脈が集まる場所で今知っておくべき未来を視察。

ツアーレポート

【DAY1】

2017年10月8日(日)

視察1社目:ROUND1(ラウンド・ワン)


店舗概観

Area ManagerのJoel氏GMのJason氏

両氏による講演の様子

(1)ラウンド・ワン米国現地法人の概要
 2009年4月にアメリカ現地法人設立。2010年8月に1号店がOPEN。
 日本では107店舗、年商805億円の展開であるが、アメリカでは16店舗、年商72億円の展開となっている。来年はさらに6店舗増やし、2025年には300店舗と日本を上回る事業展開を計画している。

(2)なぜアメリカに進出したのか?
 アメリカのGDPは日本の2倍。またそれ以上にアメリカの人口は日本の3倍であり、かつこの10年間で人口が109%増加している。人口の面では中国を上回る成長を遂げている。
 ラウンド・ワンは余暇を楽しむ層がターゲットであるため、中国などの新興国よりも一人あたりGDPの高い先進国への進出を考えた。

(3)ラウンド・ワンのアメリカにおけるビジネスモデル
 アメリカでは百貨店が不振であり、商業施設からの撤退が相次いでいる。ラウンド・ワンでは、その撤退した跡地に出店をしており、賃料も安い。
 アメリカでの1店舗あたり投資額は日本の1/2であり、日本よりもアメリカの方が収益性は高い。
 客単価は1500円(日本は1700円)、うちゲームの売上が約50%であり、ゲームの中でもクレーンゲームの売上が半分を占める。アメリカで手に入らない日本の景品が手に入ることも人気の秘密。
 社員の行動指針として3Sがある。これは「スマイル」「スピード」「シンシアリティ(=誠実さ)」の頭文字をとったもの。

(4)ラウンド・ワンがアメリカで成功した理由
 成功のポイントは、日本のオペレーションの責任者(同社No2)をアメリカに移住させ、責任者に据えたこと。
 他のボーリング場が“賭けボーリング”など大人をターゲットにしているのに対し、ラウンド・ワンはファミリー層を狙っている。従って子供が喜ぶ、あるいは家族で楽しめるゲーム機の品ぞろえが豊富である。
 フェイスブックなど、SNSでの書き込みで顧客ニーズを収集している。例えば日本に旅行に行った米国人から「このゲーム機を導入して欲しい」といった情報を重視している


日曜日ということもあり家族連れが多い

ゲーム機やビリヤードが設置されている
【DAY2】

 

2017年10月9日(月)

視察2社目:Oculas/One World(オキュラス/ワンワールド)


特徴的なオキュラスの外観

オキュラスの内部の様子

オキュラスの地下にある駅改札

(1)オキュラス/ワンワールドの概要
 2001年9月11日に発生した世界同時多発テロにより、倒壊したワールドトレードセンタービルが再建され、ワンワールドトレードセンタービルとなった。
 倒壊したワールドトレードセンタービルの跡地は、そのまま国立9.11記念碑となり隣接して博物館もOPENしている。同博物館には多くの人が列をなし並んでいた。
 また同多発テロにより機能不全となった旧ワールドトレードセンター駅が再建され、オキュラスという名の駅ビルとなった。
 オキュラスの地下には駅改札があり、広い地下通路により商業施設ブルックフィールド・プレイスとつながっている。

(2)ブルックフィールド・プレイスについて
 ワールドトレードセンター内にあるショッピングモールが、ブルックフィールド・プレイスである。
 アップルストアやポールスミスなどのブランドショップが入居している。日本の鎌倉シャツも入居している。
 店舗へのヒアリングによると、テナントも全ては埋まっておらず物販は苦戦ぎみである。
 オフィスビルの直下にある商業施設であることもあり、フードコートの利用者は非常に多い。近年の商業施設の傾向として物販よりも飲食、あるいは昨日視察したラウンドワンの様な娯楽施設など、モノを売るよりも体験を売る施設が善戦しているといえる。


通路壁面には長大な液晶パネルが

商業施設内部の様子

フードコートの様子

視察3社目:Bloomberg(ブルームバーグ)

(1)ブルームバーグの概要
 経済・金融情報の配信、通信社・放送事業を手がけるアメリカ合衆国の大手総合情報サービス会社。
 創業1981年、創業者はMichael Rubens Bloomberg氏。従業員は約19000名。


全面ガラス張りの同社外観

同社エントランスの様子

David Tamburelli氏による講

(2)ブルームバーグの企業理念と文化
 グローバルビジネスマネージャー David Tamburelli氏より講演。
 全てに透明性を持たせることをポリシーにしている。
 また同社では「成功に結び付く価値」として次の4つを規定している。
<成功に結び付く価値>
① Know the Customer 顧客を知る
② Innovate 革新の追求
③ Collaborate 協力し合う
④ Do the Right Thing 正しいことをする
 良い組織風土を広げていくことは、2万人近い社員を抱えている組織にとっては容易ではない。
 その為にも同社では透明性を重視する。例えば個別のオフィスを持たず、会議室もガラス張りにしているのはその姿勢の表れ。

(3)ブルームバーグのビジネス
 端末営業アジア銀行担当マネージャー Ponlakrit Toonkamthornchai氏より講演。
 ブルームバーグは様々なビジネスを運営している。経済誌の発行、テレビ番組の運営、WEBサイトの運営など。しかし同社にとって最大の収益源は、ブルームバーグ端末である。
 4800人以上のエンジニアを抱える。毎年そのエンジニアは増えている。自社はテクノロジー企業である、との認識を持っている。
 我々の価値は革新の追求である。近年ではクラウド技術がキーワードとなっている。
 世界中に192のオフィスを持つ。ほとんど全ての国でオフィスを運営している。
 世界中に325000のクライアントを持つ。クライアントは毎年増えていっている。
 ビジネスのプロセスにおいても、透明性を持たせることを重視している。

(4)ブルームバーグの人材育成
 グローバル人財マネジメント責任者 Suzy Walther氏より講演。
 ブルームバーグには普通の形式的な肩書は無い。創業者のブルームバーグ氏ですら、名刺に肩書を書いていない。
 肩書にとらわれず、やるべきことは全て行わなければならない。そうした姿勢を貫くことが自社の文化である。
 20以上のラインの仕事がある。
 自社は常に成長しており、常に雇用している。年間4000人を新たに雇用しており、成長がダウンしたことは無い(持続的成長の実現)。
 リーダーになっていくためには、個人のエゴを捨てる必要がある。
 自社独自のリーダー育成プログラムを持っており、重視している。


ブルームバーグ端末

人事責任者Suzy Walther氏による講演

同社のリーダーシッププログラム

(5)ブルームバーグ端末の展開
 ブルームバーグ端末は、銀行や証券会社向けだけでなく、投資を行う個人資産家・富裕層向けに対しても展開を行っている。
 金融投資は一般に情報の非対称性が高く、常に金融機関が優位である。同端末を持つことで、金融機関と同じ情報を持つことができる。
 

視察4社目:タイム・ワーナーセンター


ショッピングモールの内部の様子

ホールフーズの入口

AMAZON BOOKS

 ニューヨーク市・マンハッタン、セントラルパークの南西に位置するショッピングモールである。
 モール3階にはAMAZONのリアル店舗である、AMAZON BOOKSが入っている。
 また地下には、オーガニック食品スーパーとして人気を集めるホールフーズが入っている。ホールフーズはAMAZONに買収された。
 AMAZON BOOKSの店内には、AMAZONサイト内で高評価(星の多いレビュー)の書籍が、そのレビューとともに陳列されている。
 AMAZONサイトで高評価の本を実際に手に取り、中身を確認した上で購入できるというコンセプトである。
 また物販コーナーには現在話題のAIスピーカーのデモ機が置かれており、実際に話しかけて(英語)AIスピーカーがリクエストされた動画や音楽を流す、といったデモが行われていました。

 総括

【中小企業こそデジタルシフトに注力し、部門化すること!】
Googleはyoutube directorアプリを通じて、自分の手のなかで、わずか30分程度で質の高い動画を事前知識なく誰でも作れてしまうという体験をさせてくれました。これは大変な驚きでした。日本のネットユーザーの60%がYoutubeを利用しており、youtube広告はgoogleの広告主の96%が採用するまでになっており、その有用性が徐々に認知され広がり始めている。
またamazonが始めたサービスはAmazon echo/echo showという音声認識ツールで、家庭で音楽を聴きたいときや本を購入したいとき、また買収したホールフーズマーケットの注文も音声認識で完結できるようになっている。
ウェブツールはもはやテキスト(文字)ではなく、音声と動画の時代が到来したことを告げる事例だと思います。
ウェブツールの進歩は、これまで資本力がなくて取り組めなかった中小企業にとっては、大きなチャンスと捉えることも出来ると思います。
また、プラットフォームを作ることが難しい中小企業は、それを有効活用するために黎明期から活用し、プラットフォーム内におけるユーザー数を徹底的に増やすために、ブログ、フェイスブック、インスタグラム、ツイッターを駆使すること。顧客になり得る読者数や登録数の最大化は、この先のビジネスに取り組んでいく上では、最も大切なことだと思います。
そして、これらを取り組むために経営者が取り組まなければならないことは、この仕事を専任化させる人財を確保することです。ツールの利用法を考えて、自社の顧客のターゲットに合うコンテンツを作れる人財が必要です。後に解説する、データ分析も併せて担わせるのであれば、部門化まで考えても良いと思います。

【データを前提とした経営へシフトし、顧客、商品サービス、売り方のいずれかを変える】
ITがどのくらい進歩しようとも、何を根拠に経営をしていくかという軸は、今も昔も変わらず、顧客やユーザーのニーズにマッチしているかどうかのみだと思います。
ニーズを掴みさえすれば、googleのように1年で売上1兆円増、従業員1万人増という圧倒的な成長を遂げることも可能です。
従来よりも人間のニーズは多様化してきているために、これを掴まえることは簡単ではなかったが、ITツールの発達によってデータが取れる環境が整ってきました。
Indeedでは、応募者は何が気がかりで、何を解決すれば応募者を集め採用することができるのかを徹底して分析して、応募者の不安、応募の決定要因、応募者の行動をすべてデータとして握っていることがindeedの最大の強みになっています。
また、本来はOnline のみで完結するAmazonも、実店舗であるamazon booksを立ち上げた背景はそこにあります。小売業全体の取引額に占めるECの割合は相当成長したといっても8%程度にすぎず、実際の取引はリアル店舗で行われています。
そこでアマゾンは収益を最大化しようとして実店舗を作り出しました。この店舗に置いてある本は、オンラインでデータを蓄積した売れ筋商品(レビュー得点が4.5以上の本)のみを置いてあり、絶対に売れる品揃えにし、ウェブと同じ価格で買えるようにしていいます。
Boston Red Soxは、マーケティングのターゲットを大人から子供に移しました。この根拠は2015年に収集したデータは、次のようなものでした。
初めて球場に足を運ぶ年齢を3~5歳と13歳~15歳の2つのカテゴリに分類しデータ分析を行うと、将来の球場への来場率は65%以上「初めて球場に足を運ぶ年齢を3~5歳」の方が高いというデータが出ました。このことでいかに来場するタイミングを早められるかという下記の施策を打ち出しました。
・子供のファンクラブでは、チケットを1枚無料へ。
・VRを使って楽しむ装置を設置する。
・集中力のない子供のために左翼スダンドには子供の遊び場を設置して、3回から7回まで開放する。(そして試合が決着しやすい7回以降はスタンドに戻らせて勝利の瞬間のエキサイティングな経験をさせる。)
このように購買行動のデータを取ることで、マーケティングの顧客(ターゲット)、商品サービス、売り方を見直すことで、業績アップを果たせるようになると思います。

【心理的安全性を確保し、スタッフ一人一人が能力を発揮できる環境を整える】
心理的安全性という言葉が新たなキーワードとして出てきました。この心理的安全性は、宗教的、政治的、人種的、性別的な差別のない環境、不当に低い評価を受けない評価システム、トップとの距離の近さ、困ったときに手を差し伸べてもらえる環境などを指すのだと思います。
この心理的安全性が保障されているチームはそうでないチームに比べて、実に40%近くも売上目標に対する達成率に差が生じるという事実もデータとして出ているようです。
ただ、経営者は従業員とは一番対極のポジションにあるため、この心理的安全性の確保は相当に気を配らないと実現は難しいしょう。
そこで、まず経営者がするべき最初の一手は、社員一人一人との会話量を増やすことで十分に担保できると思います。ただ、この会話をするためには、相手をある程度知っておくことが重要で、普段からの社員に声掛けをして社員のプライベート環境を把握しておかないといけません。
例えば、家族構成や本人の趣味趣向、考え方の特徴などです。結果として社員が気兼ねなく話してくるようになると、心理的安全性確保の第一歩目は達成できるのではないかと思います。
まず、従業員と経営者との関係性を身近なものしておくと残りの項目もスムーズに浸透していくのではないかと思います。

【業種ではなく、何を解決する会社なのかをミッションとして打ち出すことが人財マネジメント(採用・定着)の最初の一歩になる】
どの視察先にいっても、真っ先に出てくるのがミッションの紹介です。会社概要や売り上げや利益の規模よりも重視していることがわかります。
・google:世界中の情報を整理し世界中の人々がアクセスできて使えるようにすること
・indeed:we help people get jobs
・legal seafood:If it isn`t fresh, it isn`t legal 
グーグルでもインディードでも、リーガルシーフードでも、それぞれの会社のミッション(目指すべきもの/世のためひとのためになること)をしっかりと持っており、且つそれが社会性とマッチングしていることがそもそも働き甲斐の源泉となっていると感じました。
その働き甲斐に人は惹きつけられて魅せられて集まってくるのでしょう。
そして、業務自体はそのミッションを実現するためのツールに過ぎないように感じました。

この記事を書いたコンサルタント

小高健詩

業績アップの公式は「現場力×携わる者の本気」を信条に、司法書士事務所を専門領域として業績アップを手掛けている。年間250日は北海道から九州まで全国各地の事務所に赴き、クライアントの業績アップをお手伝いしている。現場重視型のコンサルティングスタイルを貫いており、最近は司法書士の業際を跨いだ斬新なコンサルティングが好評を博している。

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