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2019年5月1日~5月5日
  視察先

深圳、マカオ

テンセント、平安保険、核子基因、MUJIホテル、DJI、Shenzhen Venture Vally、SMD Smart Drone

随行コンサルタント:出口恭平、岡聡、三浦康志、戸澤良親、渡邊功一

深圳、マカオの視察ポイント

皆さんは中国の企業にどんなイメージをお持ちですか?

「コピー品」「安かろう悪かろう」「大量生産工場」

そんな時代はとっくの昔に終わりました。

いま中国は徹底的な模倣から脱却し、「新しい価値の創造」に国を挙げて取り組んでいます。

13億人を超える国内市場に向けて始まった中国発の製品・サービスもいつしか国を超え、民間用ドローン市場では、 DJI が世界シェアの70%を握り、スマホ市場ではファーウェイが出荷台数で、アップル、サムスンに迫る勢いです。さらに、1日のEコマース取引額で3.4兆円の驚異的な記録を作ったアリババと世界で11億人が使うメッセージアプリWechatを運営するテンセントは、ともに時価総額で世界トップ10入りしています。

そんな中国において世界一企業の発信基地となっているのが、 「中国のシリコンバレー」とも呼ばれ脚光を浴びる“深圳”です。

たった40年前には人口たった3万人の鄙びた漁村でしかなかったこの場所は、1978年の経済開放を契機に香港の対岸という好立地を生かし成長し、1990年代には電子機器の生産拠点として栄え、今では人口1400万人の巨大都市となりました。これが「人類史上最速で進化する都市」と称される所以ですが、歴史が浅い分北京や上海に比べ深圳には既得権も少なく、平均年齢32歳の若いエネルギーを新たな挑戦に向かわせる土壌があります。そんな土壌は、施行と失敗の圧倒的なスピードを生み出し、 「深圳の1週間はシリコンバレーの1カ月」「3年で発明家が“業界”を生む」とも言われる要因になっています。

米国中心で回ってきた世界経済勢力図の変わり目において、「深圳速度」とも呼ばれるビジネス変化のスピード感を体感し、変わりゆく未来を見据えるために深圳視察を企画しました。

ツアーレポート

中国最先端事例に学ぶイノベーションの神髄(船井総研主催「経営戦略セミナー2019講座」より)

中国で急成長を続けるラッキンコーヒーとフーマー

オンラインとオフラインが融合、顧客課題を解決するニューリテール企業

 

中国最先端事例を実際に見ていきましょう。まず取り上げたいのが、いま中国で急成長中のコーヒーショップ「ラッキンコーヒー」です。2017年設立、19か月で米ナスダックに上場、19年末に4500店舗を目指すという破竹の勢いの企業です。
そもそも中国では、おいしいコーヒーを飲もうとしたらカフェに行くのが一般的です。けれども、その時、「高い」「並ばなければならない」という2つの課題に消費者はぶつかってしまいます。
そこで、ラッキンコーヒーは、アプリを通して先にオーダーをし、店舗に取りに行くことのできるサービスを開始。
2杯オーダーすると1杯無料といったキャンペーンもあり、“行列のできない人気店舗”として「ユーザー体験と低コストを同時に実現」同社は店舗数を急拡大させることに成功しました。

 

 

オンラインでオーダーして実店舗へ足を運ぶなど、オンラインとオフラインの垣根をなくす構想の業態は「ニューリテール」と呼ばれます。
次に取り上げるのは、生鮮スーパーのフーマーです。フーマーは、ニューリテールの構想を最初に掲げた世界最大のEC企業アリババの傘下の企業です。
フーマーは、活きのいい生鮮食品が店舗に並ぶこともポイントですが、食品をオンラインで注文すれば、3キロ圏には30分以内に無料で配送をしてくれるという特徴があります。
オーダーされた食品は、スタッフがピックアップし、フーマー店舗上部にあるレールを伝って店外に運ばれます。そして、外で待ち構えているデリバリー隊員が自宅まで届けるという仕組みです。
便利なデリバリーサービスがあるから店舗は賑わいがないかというとそうではなく、フーマーで買い物をすることを前提に、店舗にも、ネットにも顧客を誘導することができているのです。

 

何故中国では突如としてイノベーションが起きたのか?

市場の中の不便さを解決することがイノベーションを加速させる

 

以上、注目を集める2つの事例を取り上げました。最近では中国の急速な発展についてメディアでも扱われることが増えたので、聞いたことのあるものもあったかと思われます。
けれども、これが5年前ならば、こうした事例は予想さえできなかったのではないでしょうか。では、なぜ中国では突如として、このようなイノベーション企業が急速に出現するようになったのでしょうか?
そのヒントは、中国がそもそもかなり不便だったという事情が関係しています。キャッシュレスを例にとってみてみましょう。
以前の中国は、信用情報が未整備でクレジットカードも普及しておらず、決済端末の数も限られていました。そうした状況にもかかわらず、市中には偽札が出回っていため、多くの人が不便を感じていたのです。そんな中、QRコードが出現しました。
発行にお金がかからないこと、市場の年配者でも利用できること、そして、キャッシュレスに移行すれば偽札の対応に悩む必要がなくなること。
以上が重なり合い、QRコードを用いたキャッシュレス決済一気に普及が進んだのです。これは、日本のように便利でない、不便さがあったからこそ起こった話であり、中国でイノベーションが加速した好例と言えるでしょう。

 

 

同じく、不便さがイノベーションを加速させた事例として、スマートフォンを用いた遠隔医療を取り上げたいと思います。
従来の中国の医療環境は、医者が藪医者でないかのチェックは難しく、大病院に患者が集中していました。結果、大病院の整理券を転売するダフ屋まで登場する始末だったのです。
それに対して、平安保険という企業が医師とのネットワークを構築し、アプリを通じて無料で初診が受けられ、医師の評価を見ながら予約することができる、従来の市場の課題を解消するサービスを展開したところ、爆発的に普及しました。
結果、イノベーションが進み、医師への再分配にも繋がったのです。
加えて、本サービスを提供する企業としても、遠隔医療アプリの利用状況から、お客様の状況に最適なコミュニケーションが可能となる、患者が遠隔医療アプリを利用することで、膨大な医療データを収集することができるといった競争優位を築き上げることにも成功しているのです。

 

イノベーションを支える競争優位の確保の仕方

顧客のデータの収集を通じてサービスを向上、顧客の時間シェアを向上させる

 

中国のイノベーティブなサービスは、サービスの革新性に加え、世の中に存在する不便さを埋めるサービスであること。結果、人々に受け入れられるからこそ、イノベーティブたりえるのです。
そして、そうしたサービスの提供を通じて、顧客のデータの収集ができ、データを踏まえたビジネスの優位性を補完させ続けることができる。
このような要点を押さえて、圧倒的なユーザー体験を届け続けられる企業が市場を独占しているのが、中国イノベーション企業の実情と言えるでしょう。
2019年5月のグレートカンパニー視察セミナーで、中国イノベーション企業の筆頭であるテンセント幹部の方に講演をいただきました。
その際、その方も同様のことを仰っていました。テンセントの狙いは、脳を支配する、脳内シェアを上げることである。そして、インターネットは時間の奪い合いであり、時間シェアの差がロイヤリティ、売上の差である。だからこそ、売上向上は脳内シェア、24時間の独占が最終到達点である、と。
無料でのサービス提供し、人々をやみつきにさせ、勝者が市場を独占しデータを囲う。そうした中国イノベーションの本義を垣間見たように感じられました。

 総括

深圳グレートカンパニー視察セミナーで目の当たりにした中国イノベーションの実像について解説してまいりましたが、イノベーションは偶然勃興したわけではないということがお分かりいただけたかと思います。

この記事を書いたコンサルタント

星野佑介
星野佑介

2015年船井総研入社。入社後は、会計事務所のコンサルティングに従事する傍ら、豊富な海外経験をもとに海外視察セミナーにも積極的に参画し、2017年よりグレートカンパニー視察セミナーの運営を担当。2018年からはイノベーション推進室グローバルセクションにて、海外視察セミナーを企画運営している。

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